Capitolo 31 - Post vol. 48

私が動けば火が動く。
蝋燭の火を前に精霊の女神を知ろうとする亜弓。
外は雨。
窓開けると部屋には風が入り込み蝋燭の火が揺れるのを感じた亜弓。
私が扉を開けたから火が動いた。
私が動けば・・・
雨の音、臭い、空気を感じながら亜弓は自然を動かすのは紅姫だと理解する。
そして今までどうやったら神秘的に見えるのかだけを考えていたことが間違いだったと気づく。
私が動けは火が動く！風が動く　大地が動く。
蝋燭の灯る中、精霊の女神紅姫の心の動きをつかむ手がかりをみつけた白目の亜弓だった。


753 ：その2：2012/05/25(金) 02:22:27.17
同じときマヤは稽古場に泊まりこんでいた。
同居する麗が劇団仲間さやかとスマホで会話。
マヤは朝起きると、近頃は時々精霊の女神になっているという。

そのマヤは稽古場で梅の谷の千年の木になりきっていた。
私は精霊の女神紅姫・・・！
梅ノ木に宿る・・・！
と　体を動かそうとしたときマヤの体がこわばった。
足が　体が　動かない。
そんなマヤの心に月影先生のことばが襲いかかる。
　役そのものになってはいけないのです！マヤ・・・！
　あなたは役者　演技しなさい。
　自分の体が外からどう見えるのか意識しなさい。
見せる演技を意識すればするほど体がこわばるマヤ。
見せる演技では亜弓さんにはかなわない　でもわたしには私のやり方がある。
スピード感ある白目で何度も練習するマヤだった。

754 ：その３：2012/05/25(金) 02:23:16.42
翌日オンディーヌスタジオにて。
やつれた姿になった亜弓は紅姫になりきっていた。
雨の上がった日差しに導かれスタジオの庭に出る亜弓。
水溜りに足を入れた瞬間亜弓は気づいた。
私が動けば水が動く。
水に映る世界が動く。
世界が動く！
亜弓は稽古の途中で早退しハミルにホテルへ送ってもらった。
そして部屋に無数の蝋燭を灯す。
蝋燭の灯りの中で羽衣をまとい女神になりきる亜弓。
あと少し・・・あともう少しで何かがつかめそうだった。
そのときまた立ちくらみが。
よろけたはずみで蝋燭を倒してしまった。
そして火がカーテンへ引火する。
瞬く間にまわる炎の中でさえ亜弓は女神になりきっていた。
全てを焼き尽くす炎。
とうとう亜弓は精霊の女神を知った。
燃え盛る炎の中で。
ハミルは火事に気づくもホテルの外から炎を見つめアユミ・・・！とつぶやくだけだった。